遠野への旅 #2 -はたらく-

黄金色に輝く田園風景がどこまでも広がり、風に揺れる稲穂の先にたわわに実ったお米。

稲刈りの季節。

知ってるようであまり意識したことが無かったように思う。お米はこの時期に収穫されるんだな~

遠野に来る前に、母から稲刈りのバイトの誘いがあり、お役に立てるのならとノブと一緒に二つ返事で引き受けることにした。

田舎にはこうした季節労働があるが、人手不足と働き手の高齢化でとても大変らしい。コンバインという一台で収穫、脱穀、選別ができてしまう便利な機械もあるのだが、ここの農家は収穫や脱穀に機械は用いるものの乾燥させる過程は”はせがけ” という方法を行なっているので人の手が必要なのだ。

はせがけとはその名の通り収穫した稲を掛けていく作業のこと。

刈り取ったあとの籾は水分を多く含んでいて、そのままにしておくと腐ったり、カビが生えてたり、芽がでることがあるので、早いうちにはせがけして乾燥させる必要がある。

また稲穂の状態で干すことで後熟が進むとも言われている。

はせがけをすると冷めた時のご飯の味が違うとこの家のお父さんが教えてくれた。

中には売るものは全て機械で作業するけれど、家で食べる分は、はせがけする農家もあるらしい。

消費者が安さを求めるばっかりに本物の味が届かないのは残念だね~

手間をかける理由は、その味とおいしさを知っているから。

はせがけをする土台は木材の柱を立てたあと横木を何本かかけたもの。至ってシンプルな作り。

ここに稲を掛けていく。

一段目は2対8くらいの割合で稲束を分け左右交互に掛ける。こうすることでより多くの稲を掛けていくことができる。

一段目に続いて二段目を掛けていく。

二段目は5対5の割合で。乾くと稲が軽くなり風で飛んでしまうこともあるので、間をつめながら下へ向かってぎゅっぎゅっと押し当てながら掛けていく。

昔は横木をもう一段掛けて全部で三段掛けていたそうだが、今ははせがけした状態で機械で脱穀をしていくので、この二段の形になっているそう。

はじめはぎこちない作業も次第に慣れ、ノブとの息も合い、スピードアップ~

出来なかったことが出来るようになる。こうした小さな変化を経験をすると自分の中に自信が芽生えるのがわかる。そして「助かるよ~!ありがとう!」なんて言われると自分が役に立てていることを実感する。

お互いさま。助けて嬉しい、助けられて嬉しい。だからまた力になりたい。そこには与え合いの連鎖がある。奪い合うと疲れるけど、与え合いには喜びがある。そして温かい。

みんなで働き、休憩しながら、たわいもない話をするのも楽しい時間。

はせがけされた稲穂の見事なこと!

朝から夕方まで働いて、その仕事っぷりが目に見えてわかる光景になんとも言えない達成感が胸の奥から沸き起こった。

太陽の光を沢山浴びて、おいしくなあれ~

バイト代を払っていただけるとのことだったけれど、私達はお金よりお米が欲しいと申し出て、労働の対価としてこんなに沢山のお米をゲット~

お米以外にもち米やかぼちゃ、手作りの梅干しまで持たせて下さったり。

労働に換算できないギフトがいっぱい!感謝と喜び〜

いいね〜、こういう世界。

モリチカさん、マキさん、本当にお世話になりました。

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