朝起きてすぐに河岸に向かった。北の空に浮かぶ雲が淡いピンク色に染まっていて美しい朝だった。
水はかなり引いていて、水に沈んでいた桟橋の一番上の段とカヌーの底全体が見えていた。その光景を目にした時の喜びと安堵感といえばそれはもう!そうは言ってもまだ水量は多く、流れも早いので注意を払いながら早速カヌーを引き上げてみることに。待ちに待っていた瞬間だ。
ひっくり返ったカヌーは水が満ちて重たくなっていて、2人で力いっぱい引っ張ってもなかなか上手く引き上げることができず、もう少し水が引くのを待ってから出直すことにした。
朝ごはんを済ませ、荷物を全て持って河岸に下りると更に水が引き、桟橋の二段目が出てきたていた。ついにカヌーもお目見え!カヌーをひっくり返すのがこれまた大変で、2人で力を合わせてやっと上に向けることができた。カヌーが流されなかったことは本当に幸いで、残念なことにオール1本、予備用のオール、バレル1つは紐でしっかり固定していたにも関わらず、紐が切れて流されてしまっていた。
実はバレルの中には姉に作ってもらったウエディングドレスが入っていたので、大ショック!「何で大事なものを手元に置いておかなかったんだ~」と後悔の念がぐるぐる。悔やんでも悔やみきれない。
やっとカヌーに乗り込み前に進めるという喜びの気持ちとバレルが流されてしまったという悲しみと絶望的な気持ちの中でカヌーの旅最終日は始まったのだった。
奇跡的に残ったオール1本でノブが舵取りしながら1日ぶりのカヌー始動。私はオールもなく手持ち無沙汰だったので、流されたものがどこかに引っかかっていないか願うような気持ちで辺りを見回していた。すると進みはじめてすぐ右手の木の上に流木と共にオールが引っかかっているのが目に入ってきた。「オールがあったー!」とノブに伝えるも、流れが早いのでどんどん流されてしまい、オールに近づくのにもこれまた一苦労。ノブがオール一本で上手くカヌーをコントロールし無事にオールを回収することができ、気持ち新たにWanganuiの町に向けて出発した。
河岸の木々が倒れたり、折れたり、高い枝に流木が引っかかっていたりと洪水の爪痕が残っていた。カヌーが流されなくて本当によかった~とつくづく。
しばらく漕いでいるとモーターボートが向かってくるのが見えた。「捜索願いが出て私達のことを探しに来たのかな~?」なんて冗談を言っていると、ボートのスピードがみるみる遅くなり私達のところに近づいてきた。
「バレル流されなかった?」とボートのおじさん。
「?????」
一瞬耳を疑った。
おじさんの手にはなんと流されてしまったはずの私達のバレルが!
「信じられない!こんなことってあるの~!」
この奇跡的な出来事には、ノブも私も大興奮。あまりに嬉しすぎて、天にも登るような気持ちだった。
救世主のおじさま方!本当にありがとうございました。
バレルを受け取ったあとのこの満面の笑み!
奇跡のバレル。こんなしっかりした紐が切れてしまうなんて自然の脅威を感じた。
結局、予備用のオールを見つけることは出来なかったが、無事にWanganuiに到着することができ、7日間に渡るカヌーの旅が終わった。
昨日は私の誕生日だったので、1日遅れの誕生日をノブがお祝いしてくれた!最高だ~
ビーフとラムの特盛プレート!
スペシャルバースデーケーキ!
沢山のディナーと沢山の奇跡にお腹も心もいっぱいの1日でした。
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