小屋の窓から遠くの山が赤く染まっているのが見えた。今日もいい天気だ。
「忘れ物なし!」と小屋を出発したが、歩きはじめてすぐにトレッキングポールが無いことに気づいて小屋に取りに戻った。「確認したのにね~」と笑いながら一日がはじまった。
川沿いの草原には牛が放牧されていて朝の静けさの中、牛のモーと鳴く声が山にこだましていた。こだまする牛の声なんてなかなか聞けないよな~と朝から一人感激していた。
森に入ると倒れた木でトレイルが塞がっている箇所がいくつもあり、場所によっては数メートルに及び根こそぎ倒れた木々が重なり合っていた。登ったり、潜ったり、迂回するために道なき森の中を歩いたりと進むのに苦労した。後で聞いた話によると、二週間前の台風で倒れてしまったようだ。大したことのない台風だと思っていたけれど、まさかこんな被害があったとは驚きだった。
連日の疲れと睡眠不足がたたってか、ひたすら続く森歩きに楽しさを見出す余裕もなく、身体的にも精神的にいっぱいいっぱいになりながら歩き続けた。
今までで一番長い吊り橋を渡ったら小屋まではあと少し。登り坂の途中でロビンが目の前に現れた。疲れ果てていた私は足を止めて「小屋はどこかな~?」とロビンに尋ねた。ロビンはだんだんと近づいてきて、最後は私の靴をつついて去っていった。二、三歩歩いて顔を上げるとすぐ目の前に小屋が見えた。
小屋に着くと南島在住のベテランハイカーのおじいさんが3人いて、先に着いていたノブがおじいさん達と話をしていた。大学時代の友人という3人は50年の付き合いになるとか。なんとも良い雰囲気の漂うおじいさん3人組だった。
今日は久々に心地よい睡魔に襲われ、21時には眠りについた。
Hurunui No.5 Hut
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